【腰痛の最新情報】まとめ


ダニエルJブーアスティン
根拠に基づく情報を提供してるサイトは皆無に等しい
腰痛に関する情報を5つのサーチエンジンでレビューした結果、ほとんどが広告だったことから患者が正確な情報に接するのは困難
(Li L. et al, Spine, 2001)

腰痛患者は情報源としてインターネットを使うべきではない
インターネット上の腰痛に関する情報の研究
医療関係者は根拠に基づくサイトを作らなければいけない
(Butler L&Foster NE, Spine, 2003)

覚書:インターネット上の情報だけじゃなく、雑誌、書籍、テレビなど全ての健康情報について言えること。不都合な内容は公開しない出版バイアスを意識すること。【誰が】【いつ】【どんな方法】で確認されたのかを気にすること。そして、どこまがが確認されてて、どこまがで未確認なのか?それも意識すること。背後にある利害関係も注意。あいまいな表現より数字を意識すること。数字は正しくても見せ方によって印象が変わることを忘れない事。(絶対値と相対値の違い)

科学的根拠の話題は敵を作りやすいので要注意。場合よっては営業妨害として訴えられるケースもある。自説の正しさを証明し、相手を叩きのめすために科学的根拠がある訳ではないことを心得よ。人は感情によって動くことを忘れない事。事実は1つ。しかし、真実は個人の解釈によって無数あることを忘れないこと。相手の真実を理解し寄り添うこと。そして、こちらからは事実を伝える事。間違っても相手を変えようとしないこと。事実を伝えて、しっかり考え抜いて自ら変わることに意味がある。(覚書ここまで)

腰痛 最新情報(研究者の論文を簡潔にUP)

情報をまとめる仕事は地味で根気が必要です。このような緻密な仕事をして下さるのはTMSジャパン代表、長谷川 淳史先生です。TMSジャパンとは腰痛治療の活動を行う非営利組織(当院は正会員です)。本当にお世話になってます。心より感謝いたします。当院もまとめページを作り整理中。根拠情報に興味を持ってもらって分かりやすく伝えることが私の課題(腰痛にまつわるヘルスリテラシーの向上が目的)

  • 科学的根拠1※欠番
  • 科学的根拠2 腰痛ガイドラインのABCDの記述
  • 科学的根拠3
  • 科学的根拠4
  • 科学的根拠5 心理的・社会的・経済的因子は腰痛発症と治療成績に大きな影響を与える
  • 科学的根拠6
  • 科学的根拠7 ・脊椎マニピュレーション(カイロプラクティックなど)は神経根症状のない急性腰痛患者(ぎっくり腰)に対して発症後1ヶ月以内に用いられれば症状が改善する可能性がある ・脊椎マニピュレーションによる治療を1ヶ月間行なっても患者の症状や機能障害の改善が認められない場合は、脊椎マニピュレーションを中止して患者を再評価すべきである
  • 科学的根拠8 トリガーポイント注射の有効性は証明されておらず侵襲的なため急性腰痛の治療に推奨できない
  • 科学的根拠9
  • 科学的根拠10 イギリスで行なわれた701名を対象としたRCTでは、数回にわたる集団での認知行動療法によって慢性腰痛の疼痛と活動障害が改善され、その効果は12ヶ月も持続しただけでなく、費用も一般的な腰痛治療の約半分に抑えられた。
  • 科学的根拠11 医師による患者を安心させる言葉は、腰痛の改善に大きな力を発揮するだろう。そして患者は腰痛についてくよくよ考え込まないこと、四六時中その痛みについて考えないことが重要である。腰痛のことで頭をいっぱいにすると、プライミング効果で疼痛強度が増すからだ。恐るべきかな言霊の威力。
  • 科学的根拠12 エビデンスに基づく正確な情報を平易かつ理解可能な言葉で患者に提供できれば、腰痛患者は不適切な治療を選択しなくなるだろうが、3つの専門学会と10ヶ所の医療機関のウェブサイトを調査した結果、97%が患者にとって難解だった。
  • 科学的根拠13
  • 科学的根拠14 ・腰痛患者200名と健常者200名のX線写真を比較。骨盤傾斜の検出率に差はない。 ・発症後1年以内の腰痛患者144名と健常者138名を対象に、骨盤の歪みを厳密に測定して腰痛との関連を調べた研究。骨盤の非対称性(歪み)と腰痛とは関連なし。
  • 科学的根拠15 ・妊婦54名と非妊婦41名の腰部椎間板をMRIで比較。両軍群とも差はなし。 ・急性腰痛患者200名、慢性腰痛患者200名、健常者200名を対象にX線撮影で仙骨底角を比較した結果、3群間に差はなし。
  • 科学的根拠16 5つの異なる職種の男性149名を対象に、1年間にわたってMRIで腰部を観察。職種による差は無し。
  • 科学的根拠17 ・27,801名を対象としたアンケート調査から、急性腰痛患者の86.2%は2週間以内に治癒することが判明。この86%という自然治癒率とプラシーボの70%を超えられない治療法は価値がないどころか治癒を妨げていることになる。 ・急性腰痛患者203名を対象に2日間の安静臥床群と7日間の安静臥床群を比較。
  • 科学的根拠18 ・空港貨物部勤務の312名を対象に、荷物の持ち上げ方に関する教育群、コルセット+教育群、コルセット群、非介入群に割り付けて6ヶ月間追跡調査。4群間の腰痛発症率と腰痛による欠勤日数に差はなし ・健常者402名を腹筋強化運動+教育プログラム群と教育プログラム群の2群に割り付けて2年間追跡したRCTによると、両群間の腰痛発症率には差が認められなかった。
  • 科学的根拠19 腰痛患者144名と健常者138名を対象に骨盤の歪みを厳密に測定して腰痛との関連を調べた結果、どのような臨床的意義においても骨盤の非対称性と腰痛は関連していないことが判明。骨盤の歪みが腰痛の原因というのは迷信に過ぎない。
  • 科学的根拠20
  • 科学的根拠21
  • 科学的根拠22 ・腰痛患者520名を対象に診療ガイドラインに従った治療群と従来の治療群の治癒率、再発率、満足度、医療費を1年間追跡して比較した研究によると、従来の治療群よりガイドライン群の方がすべての面でかなり優れていることが判明。 ・患者に不安や恐怖を与えると間違いなく痛みが増幅する。このノーシーボ効果は想像以上に強力で、ヴードゥー死、タブー死、ノスタルジー死で証明されているように命に関わることさえある。
  • 科学的根拠23 ・腰痛で長期欠勤している患者975名を3年間追跡したRCTによると、200日後の復職率は教育プログラム(従来の常識はすべて忘れて怖がるなという指導)群が70%だったのに対して、標準的治療群はわずか40%でしかなかった。 ・腰痛患者161名を時代遅れの小冊子群と新たな腰痛概念に基づく小冊子群に割り付けて1年間追跡したRCTによると、新たな小冊子群は動作恐怖が低下すると共に回復が早いことが判明。従来の考え方を改めるのは有効な治療法である。
  • 科学的根拠24
  • 科学的根拠25
  • 科学的根拠26
  • 科学的根拠27 ガイドラインの勧告を無視した根拠のない不適切な診断と治療が急増
  • 科学的根拠28 職場における腰痛の予防をテーマにしたランダム化比較試験(RCT)を分析した体系的レビューによると、職場での運動は腰痛の予防に効果的だったが、コルセット(サポートベルト)や生体力学に基づく教育的介入は腰痛を予防できないことが判明。
  • 科学的根拠29 ・農業従事者1,221名と非従事者1,130名を対象にした前向きコホート研究では、腰への負担が大きいほど腰痛発症率が低下。腰痛の原因は「摩耗・損傷モデル」では説明不可能。 ・自動車事故後に慢性疼痛を訴える335名を「他人の過失と認識」群と「他人に過失なし」群に分けて医療記録を比較した結果、前者の自己申告は腰痛や頚部痛の既往歴とは2倍超、心理的問題の既往歴とは7倍超の不一致が確認された。
  • 科学的根拠30 1985年~1997年に発表された座業と腰痛に関する論文の体系的レビューによると、座業が腰痛のリスクファクターであるというエビデンスは見出せなかった。座りっぱなしの仕事が腰痛と関連するという世論の裏付けは存在しない。
  • 科学的根拠31 ・非特異的腰痛とは、「発症年齢が20~55歳」「腰仙部・臀部・大腿部の痛み」「メカニカルペイン(動作によって痛みの程度が変化する)」「患者の状態は良好」で、専門医へ紹介する必要はない。 ・神経根症状とは、「腰痛よりも片側下肢痛が重篤」「足またはつま先へ放散する痛み・しびれ・感覚異常」「SLR(下肢伸展挙上)テストで下肢痛が再現」「局所における神経徴候」で、発症後4週間以内は専門医へ紹介する必要がない。
  • 科学的根拠32
  • 科学的根拠33 「迅速な回復のために良好な予後に関する正確な情報を提供」「軽い運動は有害ではないことを再確認」「日常の活動を維持するような現実的指導」「仕事に復帰するような現実的指導」。
  • 科学的根拠34 抗うつ薬は慢性腰痛の治療に広く用いられてきたが、その有効性に関するエビデンスはほとんどなく、急性腰痛に対する抗うつ薬の有効性に関するエビデンスは入手できていない(★)。
  • 科学的根拠35 急性あるいは亜急性腰痛に対する脊椎マニピュレーションは、他の治療法に比べて短期間で疼痛および活動障害の改善、ならびに患者の満足度という点でより高い効果が得られる(★★★)。
  • 科学的根拠36
  • 科学的根拠37 耐え難い腰痛を訴える椎間板に起因する腰痛患者は、手術を受けなくても3年後には68%が改善し、労災補償患者でさえ80%が改善していた。改善率が68%を超えられないのであれば、ある治療法を椎間板変性腰痛に実施すべきでない。
  • 科学的根拠38
  • 科学的根拠39
  • 科学的根拠40
  • 科学的根拠41
  • 科学的根拠42 ・大部分の家庭医は医学図書館で過ごす時間がほとんどなく、質の高い根拠に基づく研究に触れる機会がない。質の高い研究には多大な努力が注がれているものの、多くの医療従事者は自分の仕事に関する科学的根拠をけっして知ることはない。 ・プライマリケア医・整形外科医・カイロプラクターを受診した急性腰痛患者を比較した結果、回復率には差がないことが判明。治療費はプライマリケア医が最も安く、満足度はカイロプラクターが最も高く、整形外科医は治療費と満足度の両面に問題あり。 ・アスリートにとって腰部椎間板ヘルニアは震え上がるような病気だが長期的予後は驚くほど良好。坐骨神経痛は自然治癒する可能性がきわめて高く、保存療法を行なった患者の38%が1ヶ月以内に回復し、52%が2ヶ月後までに回復する。
  • 科学的根拠43 ・自動車保険制度のないリトアニアにおいて、過去3年間に追突事故に遭った202名と交通事故の経験のない202名を対象に、頚部痛・頭痛・腰痛・神経障害などの有無と頻度を詳細に比較した結果、両群間に有意差は認められなかった。 ・慢性リウマチ患者18名の疼痛や機能障害などと患者が住んでいる地域の気圧・気温・湿度を分析した結果、患者の症状と気象条件との間に関連性は認められなかった。これまで天候が関節痛に影響するという結果が得られた研究はない。
  • 科学的根拠44
  • 科学的根拠45 ・職場「損傷」という概念は時代錯誤である。職務と大部分の腰痛との間には明らかな因果関係が認められないことから、腰痛などの愁訴を職場「損傷」と呼ぶのはやめるべきである。 ・労災補償申請をする腰痛患者は、人間工学的原因よりもむしろ他の職場環境の面から説明できる可能性が高い。したがって、職場内における人間工学的以外の原因を探すべきである。
  • 科学的根拠46 ・郵便局員に対する腰痛教室(脊椎力学・姿勢・荷物の正しい持ち上げ方に関する教育)の有効性を調査した結果、腰痛発症率・欠勤日数、復職後の再発率のいずれも減少しなかったことから、腰痛教室は時間と費用の無駄であることが判明。 ・3つのビスケット工場を対象に心理社会的教育パンフレット(腰痛に対する恐怖心を打ち砕く内容)の有効性を1年間にわたって追跡調査した結果、教育パンフレットを使用した工場は腰痛発症率と欠勤日数が大幅に減少したことを確認。
  • 科学的根拠47 腰痛患者161名を対象とした新たな腰痛概念に基づく教育パンフレット『The Back Book』の有効性に関する二重盲検ランダム化比較試験の結果、腰痛に対する患者の誤った考え方を変えて回復を促進させられることが判明。
  • 科学的根拠48 腰痛に関する恐ろしい噂話に耳を貸さないこと。ほとんどは根拠がない。

参考

ランダム化比較試験(RCT: Randomized Controlled Trail )
被験者の偏りを無くすため、無作為にグループを分けて比較試験を行う方法。
非ランダム化比較試験(CCT: Controlled Clinical Trail )
被験者の偏りを無くすための無作為が完璧ではないが、比較試験を行う方法。
ランダム化比較試験
二重盲検法
検査官の心理的思い込みを排除するためにコントローラーを置いて検査する方法。
二重盲検法
症例報告:診断、治療、その後の経過を詳しく報告したもの。
エビデンスレベル
エビデンス

覚書2:治療家の個人の経験に基づく理論はエビデンスレベルが低いことを心得よ。本当に優れた医療関係者ほど個人の経験を紹介する時、非常に控えめに紹介するもの。(福島県立医科大学 菊地 臣一先生の言葉、振る舞いを忘れるな。)

経験(ヒューリスティック)は素早い判断が出来るのがメリット。しかし思考の偏り、見落としの存在がある分、過ちが出やすいことを忘れない事。世間には、これだけで治る(思考の偏り)という情報が飛び交うが、そのような単一原因でなる病気は非常に稀であることを忘れない事。複数の原因であることを決して忘れない事。

エビデンスとヒューリスティックの両方を統合して、そこに患者様の価値観・状況を加えたケアを進めること。立場が異なる【ケアする側】と【ケアされる側】の考えを、お互いに押し付けあうのではなく、情報を出し合って協力しあいながら病気に向き合うこと。
1.雨乞いをした。2.雨が降った。3.だから雨乞いに効果がある。とする雨乞い3た論法に注意すること。3た論法を用いた説明は、プロとして恥ずべき行為だということを忘れない事。(覚書ここまで)

ヘルスリテラシー関連

ヘルスリテラシーが低いと・・・
医療の質が低下、健康状態悪化、救急搬送率、入院率、長期入院率上昇で医療費が高騰
(Editorlal, Lancef,2009)

ヘルスリテラシーが低いほど死亡率上昇
52歳以上の7857名を5年間追跡調査したコホート研究
(Bostock s. et al, BMJ,2012)

ヘルスリテラシーの低さは健康状態の悪化と死亡率の上昇に関連
ヘルスリテラシーと健康状態に関係する体系的レビュー
(Berkman ND. et al, Ann Int Med, 2011)

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